月夜の晩、橋の上に物の怪が出る。 そんな噂が京に流れたのはいつの事だろうか。
月夜の晩、橋の上に物の怪が出る。 そんな噂が京に流れたのはいつの事だろうか。
「天斗。あの森には、近づかない方がいい」 買い出しの帰りに、母さんにそう言われた。 「なんで?」 その森は、畑の真ん中にポツンとあるような小さな森だ。 「その……オバケが出て神隠しにあうそうだ」
「もう、いい加減にしてくれよ!」 あいつがオレに言った最後の言葉がそれだった。親父とお袋がきょとんとこっちを向いて、母親に抱かれた天兵はその声で起きて少しぐずった。 いつもの兄弟喧嘩だ。 お前も一人前になったし、オレも若続きを読む
雷電と再戦の約束をしたのは、何年前だっけ? 雷電の噂はどんどん耳に入ってくるのに、相変わらず親父殿はぐうたらしている。